安心、安全のインプラント手術
インプラント手術において患者さんが最も心配な事、それは手術に伴う様々な事故だと思います。
手術中の事故として神経を傷つけてしまうもしくは切断してしまうことによって起こるしびれや麻痺。または血管損傷による出血です。当院ではそういった事故は1件も起きたことはありませんが、インプラント手術においてこの神経損傷と血管損傷が代表的な事故になります。
こういった事故が起きる原因は何だと思いますか?
歯科医師の腕、経験、使用する器具、、、たしかにこういったことも一つの要因になるかもしれません。
しかしこういった事故を回避するために最も重要な事、それは正確な診査・診断です。
簡単に言うとしっかりと準備をするということなんです。
患者さんのお口の中の状態、構造を細部まで把握しそのうえで適切な手術プランを立てるということが何より大切になります。どんなにいい車に乗って上手に運転しても地図が間違っていれば目的地に着くことはできません。
インプラント手術にも同じことがいえます。
この準備を怠ったり、間違えることが大きな事故に繋がってしまうのです。逆に言うと正しい診査・診断をして、入念な準備ができていればインプラント手術の成功率は非常に高くなります。
この準備においてCT撮影というのは非常に重要になります。
普通のレントゲンでは骨などの3次元的な情報を得ることができません。大体の構造はわかりますが、骨の細かい起伏や厚みなどはわかりません。そのためいざ手術に臨むと想定していた状態と実際が違うという事態になってしまうのです。
一方CTでは上の画像のようにあらゆる角度から形態を分析することができ、神経や血管の位置も細かく見ることができるのです。
当院では一つ一つの症例においてCT画像をもとに時間をかけプランニングをしていきます。骨の形態、質、かみ合わせ、神経、血管の走行状態など多くの項目を考え、インプラントの位置、方向、長さ、深さを決定します。
上の画像を見てください。オレンジの管のようなものが下歯槽管というものでこの管の中には神経と血管が通っています。このようにインプラントと大切な組織がぶつからないようにCT上で設計、確認することができます。
この計画通りに手術をすれば、成功する確率は非常に高くなり、先ほど書いた事故に繋がる可能性はほぼ0と考えられます。
今回は安心安全のインプラントということでCTの話をしました。
ここで鋭い方は「計画が完璧でも手術の時にずれてしまったら意味ないでしょ!」と考えると思います。ということで次回、どう計画通りに手術を行うかということを書きます。
長文お付き合いいただきありがとうございました。