名古屋市中区伏見の歯医者 ナオキ歯科 名古屋栄クリニックのセミナー・コラム

seminar & column

セミナー・コラム

歯周病と認知症の意外なつながり|歯を守ることが脳を守る理由

あなたの歯ぐきと脳はつながっている?意外な関係に気づいていますか

「最近もの忘れが増えた気がする…」「歯ぐきが腫れやすい」「よく噛めない」——この3つ、実は別々の悩みに見えて、同じ根っこでつながっていることがあります。キーワードは“歯周病”と“認知症”。最新の研究では、歯周病による慢性炎症や噛む力の低下が、脳の健康に影響する可能性が指摘されています。もちろん「歯周病が直接、認知症を起こす」と断定はできませんが、日々の口腔ケアが“脳を守る生活習慣”にもなる——これは確かな実感として、臨床の現場でも感じます。日本は長寿社会。歯と脳、どちらも“最後まで自分らしく”のために、今日からできることを一緒に押さえていきましょう。

 

なぜ歯周病が“お口の中だけの問題”では済まされないのか

歯周病は30歳以降で非常に有病率が高く、放置すると歯を支える骨が溶けて歯を失う大きな原因になります。歯を失うと噛む刺激が減り、食事の偏りや栄養低下、社会性の低下(外食や会話の機会減少)を招きやすい。これらは、結果的に認知機能の低下と関係しうる背景です。実際、歯の喪失は認知症や軽度認知障害のリスク上昇と関連するというメタ解析が報告されています(因果は断定できないものの、関連は一貫)。

 

さらに、歯周病の原因菌のひとつ Porphyromonas gingivalis(P.g.菌)や、その毒素(ジンジペイン)がアルツハイマー病患者の脳組織で検出されたとの報告もあります。動物モデルでは口腔感染後に脳内でアミロイドβ産生の増加が観察されるなど、生物学的な“つながり”を示唆する知見が積み上がっています(ただしヒトでの因果は検証途上)。

 

国内の研究機関からも、歯周病と認知機能低下の関連を示すデータが相次いでおり、高齢期の口腔ケアの重要性が強調されています。

 

今日からできる!歯周病予防が脳を守る3つの実践法

・1)「炎症を減らす」ことが脳を守る一歩

歯周病は慢性的な炎症疾患。炎症性サイトカインが全身をめぐることで、脳内の炎症環境に影響しうるという仮説があります。定期的な歯周検査・歯石除去(スケーリング/ルートプレーニング)・適切なホームケアで炎症負荷を下げることは、口の中だけでなく全身の健康リスク管理として理にかないます。体系的レビューでも、歯周病と認知症の関連は「生物学的妥当性」が指摘されており、炎症と微生物侵入という二つの経路が議論されています。

 

・2)「噛む力」を保つ(=脳への刺激を保つ)

“よく噛む”ことは海馬など記憶に関わる領域の機能維持に好影響を与える可能性が報告されています。むし歯や歯周病で噛めない状態を放置せず、欠損部はブリッジ・義歯・インプラントなどで咀嚼回復を図りましょう。噛む機能と認知機能の関連を示すレビューも複数発表されています。

 

・3)「セルフケア+プロケア」の二刀流

毎日のセルフケア:フッ化物配合歯みがき、歯間ブラシ/フロスの併用、就寝前ケアの徹底。歯ぐきからの出血は“注意サイン”です。
プロフェッショナルケア:3〜4か月ごとの歯周メンテナンス(出血ポイントや歯周ポケットのチェック、バイオフィルム除去)。出血やポケットが深い部位は局所的な処置を計画的に。
生活習慣の調整:禁煙、糖尿病コントロール、睡眠・運動、バランスのよい食事。これらは歯周炎の悪化因子を減らし、全身炎症の鎮静にも寄与します。国内機関も、高齢期の口腔ケアと生活習慣改善をセットで推奨しています。

 

・4)「早めに見つける・途切れさせない」

認知機能が低下してからの口腔ケア立て直しは、実務上とても大変です。まだ元気なうちに歯周基本治療とメンテナンスの習慣化、欠損補綴や動揺歯の管理、磨き残しが出やすい箇所の指導まで整えておくのが理想です。ご家族にもの忘れの兆候がある場合も、歯科でのケア体制(電動ブラシの導入、簡便な清掃具の選定、介助の工夫)を早期に相談しましょう。
また、P.g.菌などの病原因子とアルツハイマー病理の関与が注目される今、歯周病を悪化させないこと自体が“将来のリスクを最小化する行動”だと捉え直す価値があります(因果は断定できないが、関連の科学的根拠は増えています)。

 

歯と脳を一緒に守るために、今こそ始めたいこと

歯周病は“お口の病気”にとどまらず、慢性炎症や咀嚼機能低下を通じて、認知機能に影響しうることが数多く示唆されています。
因果関係の最終的結論は今後の研究に委ねつつも、炎症を抑える・噛む力を保つという口腔衛生の基本行動は、脳の健康を守るうえでも合理的です。
今日からできることは、出血の放置をやめる/歯間清掃を習慣化する/定期メンテを欠かさない/生活習慣を整える。そして“まだ困っていないうちに”歯科で予防計画を立てることです。

 

名古屋市の「ナオキ歯科」では、歯周病リスク評価とメンテナンス、咀嚼機能のチェック、生活習慣アドバイスまで含めて、“歯と脳を一緒に守る”視点でサポートします。「歯ぐきから出血する」「噛みにくい」「将来の認知症が不安」という方は、どうぞお気軽にご相談ください。あなたに合った予防プランをご提案します。

 

スペシャリストが集う総合診療体制
名古屋市栄駅・伏見駅より徒歩圏内の歯医者・歯科
ナオキ歯科 名古屋栄クリニック
住所:〒460-0008 愛知県名古屋市中区栄2丁目3−1
名古屋広小路ビルヂング 4F

TEL:0120-204-543